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消費税問題

消費税問題

 消費税増税が議論されています。増税となると医療機関にとっても現状の制度のままでは経営に大きな影響が出ますが、「税法」という複雑難解?な仕組みのまえに、危機感を持っておられる先生方は少ないように思われます。そこで今回は、消費税の基本的な仕組みから、社会保険診療中心の医療機関にとってそれがどのように影響しているのか、そして現状制度のまま増税が行われるとどうなるのか見ていきます。

 消費税は消費者が最終的に商品の購入やサービスの提供を受けることに対して負担する税金です。つまり消費税は事業者の行った売上に対して課税され、消費税相当額が商品やサービスの価格に上乗せされることにより、最終的には商品を購入した、又はサービスの提供を受けた消費者が負担する仕組みになっています。

消費税問題イメージ

出所:国税庁HP

図の小売業者が医療機関に該当します。しかし、平成元年の消費税導入の際に、医療については、原則、消費税を課さない=非課税とされました。その結果、医療機関の売上げは100,000円で消費税③は無し、仕入れ70,000円で消費税③は3,500円となり、消費税の納付税額・Cは生じません。従って申告・納税の必要はありません。上記の小売業者は、消費者から預かった消費税5,000円から卸売業者に支払った消費税3,500円を引いた1,500円の消費税を納税しなければなりません。一見、消費税を納めなくて得をしたように思います。しかし、利益計算をしてみましょう。小売業者の利益は、売上100,000円から仕入れ70,000円を差し引いた30,000円が利益になります。一方、医療機関の利益は、売上100,000円から仕入れ70,000円と消費税③の3,500円を差し引いた26,500円が利益になってしまいます。

これを消費税導入前後で比較してみると

①消費税導入前

( 経 費 ) 70,000円  ( 売 上 ) 100,000円 
( 利 益 ) 30,000円     

②導入後、小売業者の場合

( 経 費 ) 70,000円  ( 売 上 ) 100,000円 
( 利 益 ) 30,000円     
( 経費に係る消費税 ) 3,500円  ( 売上に係る消費税 ) 5,000円 
( 納付すべき消費税 ) 1,500円     

③導入後、医療機関の場合

( 経 費 ) 70,000円  ( 売 上 ) 100,000円 
( 経費に係る消費税 ) 3,500円     
( 利 益 ) 26,500円     

となり、消費税導入後、医療機関の利益が経費に係る消費税3,500円分減少してしまいます。

これは、消費税法では非課税の売上に対応する経費に係る消費税については、消費税の計算で差し引くことはできないと決まっているからです。従って消費税率が10%になると③の場合、経費に係る消費税は7,000円となり、このままでは利益が23,000円になります。②の場合は、納付すべき消費税額は3,000円(売上に係る消費税10,000円-経費に係る消費税7,000円)になりますが、利益に影響はありません。こうして見ると、医療が消費税法上、原則非課税となっていることにより、本来、患者さんが負担すべき経費に係る消費税の負担が、実質的には事業者である医療機関が負担していることがわかります。

上記の例は100%非課税売上のみでの計算例ですが、実際には医療機関においても消費税の課税対象となる取引が行われています。医療機関において、消費税の課税売上に該当する主なものは次の通りです。

美容整形、人工妊娠中絶、妊婦・乳児の健康診査、歯科自由診療、特定健診・人間ドック等の健康診断、予防接種、差額ベット収入(助産に係るものを除く)、文書料、生命保険会社からの審査料、職員等からの給食収入、事務手数料、公衆電話・自動販売機等からの収入、固定資産売却収入(土地以外)

通常、保険医療機関において収入構造は、大部分が消費税法の非課税売上に該当します。仮に収入の内、90%の90,000円が非課税売上で10%の10,000円が課税売上とした場合、上記③は次のようになります。

( 経 費 ) 70,000円  ( 売 上 ) 100,000円 
( 経費に係る消費税 ) 3,150円     
( 利 益 ) 26,850円     
( 経費に係る消費税 ) 350円  ( 売上に係る消費税 ) 500円 
( 納付すべき消費税 ) 150円     

これは消費税の課税売上の割合が収入全体の10%であるなら、経費に係る消費税(3,500円)の内、10%(350円)だけ売上に係る消費税から控除しようという考え方によるものです。

以上のように、医療における消費税問題は「非課税」という取り扱いに起因し、医療機関が最終的な消費者として消費税を負担している現状があります。消費税導入の平成元年に消費税対応分として0.76%、税率がアップした平成9年に0.77%で合計1.53%の診療報酬が上乗せされました。しかし、日本医師会の試算では2.2%の負担(上記の例では3,150円÷100,000円=3.15%の負担)という試算が出ており、差額の0.67%を医療機関が負担していることになります。

今後、消費税の増税は避けて通れない状況にあります。納税義務の有無に関わりなく、自院が負担している消費税額はどれぐらいなのか?
また増税になった場合、利益にどう影響するのかをきっちり把握しているか否かは、これからの病医院経営において大きなポイントになります。

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